施設報告
ブーランジェリー?ボヌール 東京ミッドタウン日比谷店 照明設備
照明事業部 営業技術部 東日本技術設計センター
株式會社ライトキューブ
キーワード
ブーランジェリー?ボヌール,Boulangerie Bonheur,東京ミッドタウン日比谷,入店率を上げる光,注目させる光,溫かみのある光,光彩度?高演色形,雰囲気をつくりだす照明演出
1.はじめに

図1 東京ミッドタウン日比谷 外観
2018年3月に開業した東京ミッドタウン日比谷は,東京都千代田區有楽町に位置し,地上35階,地下4階,延床面積約189,000m2の,オフィスや商業などから構成される大規模複合施設である。
本施設では,“Business Hospitality”をコンセプトに,先進的な機能やサービスが融合したフレキシブルなワークスタイルを実現している(図1)。
オフィスフロアではベンチャー企業や大企業など,多種多様な人材が集結したコミュニティを形成し,商業フロアにはTOHOシネマズ日比谷をはじめ,個性豊かな全60店舗が地下1階から地上7階に出店する。さまざまな機能が備わっており,「東京ミッドタウン日比谷」の大きな特長となっている。
本稿では,同施設の開業に合わせて地下1階に出店したブーランジェリー?ボヌール 東京ミッドタウン日比谷店の照明設備について報告する。ボヌール(bonheur)はフランス語でしあわせを意味し,お店で丁寧に作られた焼きたてのパンをお屆けして,しあわせなひとときを提供している。
施設概要
- 名稱:
- 東京ミッドタウン日比谷店
ベーカリー Boulangerie Bonheur (ブーランジェリー?ボヌール) - 業種:
- 食物販
- 竣工:
- 2018年2月 (開業:2018年3月29日)
- フロア面積:
-
廚房 44.45m2売り場 55.64m2合計 100.09m2
2.照明設計とコンセプト
2.1 店內
ブーランジェリー?ボヌールは,フランス,パリのマーケットをイメージした店舗空間となっており,日本にいながら本場フランスの味を楽しむことができる。
入店を誘い,購買意欲を高め,美味しさを引き立てる演出と商品を選ぶ楽しさが感じられる空間にするため,均斉度の良いフラットな光の印象よりむしろ,明暗差によるコントラストを大きくし,変化に富んだ情緒性の豊かな照明を印象付けるようにした。
また,コンコース,共用部および店舗內における明るさのバランスも考慮している(図2?図4)。

図2 店舗正面

図3 店內の様子1

図4 店內の様子2
2.2 廚房

図5 廚房の様子1
廚房內作業照明は,調理が適切に行える照度および演色性が必要である。廚房內照度基準として400?x以上が望ましい。廚房內には廚房機器や設備があるため照明器具の設置個所が限られるが,照明に対する死角を少なくする位置に配置することで,日々の作業を効率的に行えるように考慮した。また,食物販施設內の照明器具は,消防法により仕様が定められているため,それに準じた照明器具を選定した(図5,図6)。

図6 廚房の様子2
廚房內照明器具の選定にあたり,食品衛生管理の観點から,ほこりなどの付著や堆積がしにくく,清掃が容易な形狀のLED照明器具トラフ形(平均演色評価數Ra80,保護等級IP55)および,天井埋め込み形LEDダウンライト(?150,晝白色タイプ,Ra75,防雨形)を選定した。
IP55とは,動作や安全が損なわれるほどの粉じんが侵入せず,水の直接噴流によっても有害な影響を受けない構造のことを指す。また,照明器具はすべて,點燈時の周囲溫度が-20℃?+40℃の環境で使用可能(一時的に60℃まで上昇する場所も使用可能)である。
2.3 店內 間接照明
シーンによってどんな明かりが必要不可欠なのかを事前に調査および検証し,照明器具の選定を行った。
店內では,メインとなる直接照明に間接照明を加え,壁や天井に光を當て,その反射光を利用して周囲を照らすようにした。
また,間接光が反射することによって光はやわらかくなり,ムードを作り上げ,空間にやわらかな陰影と華やかさが生まれるという演出効果が期待できる(図7)。

図7 店內の間接照明
2.4 店內 棚下照明
パン類などの棚およびショーケースでは,商品に照明の熱が加わると表面が乾燥してしまい,「商品価値」がなくなるという問題が起こる。大切な商品を乾燥から守るためには,棚やケースの溫度を常に管理する必要がある。
溫度管理は商品の品質を最良の狀態で保つために必要であり,これは直接売り上げに影響することから,店舗の管理負擔を少しでも減らすことができるように,照明器具の発熱量にも考慮して選定した。ここでは,間接照明と棚下照明に使用する器具はすべて,スリムでコンパクト型のLED照明を採用している。
壁際の各棚にはLED棚下照明燈を配置しており,明るく華やかな雰囲気を創り出す際に,食品に合わせて最適な色溫度で効果的に照らし出し演出する。
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